胚培養士(エンブリオロジスト)になりたいと思う方に何を勉強すればいいですかとよく聞かれます。
私は大学で今学べることをしっかり勉強しなさいと答えます。実際の業務は各施設によって方法が異なるので、事前に学ぶことは難しいと思うからです。それよりも自分の得意な分野を作っておくことの方が将来的に役立つ可能性があります。
それに併せてもう一つ胚培養士が持っておくべきスキルがあります。
それは「英語」です。
この記事ではなぜ胚培養士に英語が必要なのかや、勉強法について解説します。
この記事を書いている私は胚培養士歴約10年の現役胚培養士ですので、信頼性の担保になると思います。
1.胚培養士になぜ英語が必要なのか
今の時代、どの分野においても英語は必要とされていますよね。
それは胚培養士にとっても同じということです。
でも胚培養士って技術者でしょ?
その通りです。
しかし他の医療系技術者と違い、学会発表や論文発表をする機会は多いです。
特に米国生殖医学会(ASRM)、欧州生殖医学会(ESHRE)など国際学会での学会発表や国際的な学術雑誌への寄稿は胚培養士としてのスキルアップや、将来的なキャリアアップに繋がります。
もちろん国際学会や英文雑誌への寄稿でなくても、日本語での学術発表を行うことも多いです。
しかし、日本語での発表であっても、引用したり参考にする文献はほとんどが英語ですので英語力は必要となります。
(インパクトファクターのついている英語論文でないと参考文献としての信頼度は低いと感じられます)
また、実際に発表しなくても、情報収集のために論文を読んだり国際学会に参加することもあると思います。国際学会での公用語は英語ですので、英語ができれば国際学会に参加した際に得られる情報量も格段に増えます。
このように、施設としての情報発信のために、学会発表や論文発表をするには英語での情報収集が必要ですし、その情報発信をさらに効率的に行うには英文で記載することが必要とされます。
そして、このような学術発表が将来のキャリアアップに繋がります。
なぜなら、例えばもし新規開業で培養室長を公募した場合、胚培養士としての現場でのICSIや凍結融解といった技術は評価しにくく、学位(博士号や修士号)を持っているかや論文数が決め手となるのではないでしょうか。
そしてそれは実際に働きだしてから気が付くのですが、働きながら英語の勉強を行うのは非常に困難なので、できれば学生の内から、既に胚培養士になっている場合はなるべく若手の内に手を付けておくことが重要でしょう。
(しかし、全ての胚培養士に必要という訳ではなく、将来的に上を目指したいという胚培養士に必要ですので、ただ言われたことをやるだけでしたら英語は不要です。)
2.胚培養士が英語を学ぶ方法
できれば生殖分野の英語論文をたくさん読んで英語を学ぶことが一番おすすめです。
それは科学論文は通常の英語とは違い、独特な言い回しや分野によって使われる表現が異なるからです。これを専門英語と呼びます。
もし、既に基礎的な英語のスキルがあるなら実際に論文を読んで、専門英語に慣れることをおすすめします。
以下では「基礎から学び直したい」・「英語が苦手だ」という方向けにおすすめの勉強法を解説します。
2-1.本で勉強する
一番簡単で、とっつきやすいのは本で勉強することですよね。
以下で解説する勉強を行う前に事前に本で勉強しておくことで、効率よく勉強できるかもしれません。
・おすすめ書籍①「フォニックス<発音>トレーニングBOOK」
まず1番最初に紹介するのは「フォニックス<発音>トレーニングBOOK」です。
フォニックスとは簡単に言うと英語の「つづりと音」のルールです。これを身につけることで正しい単語の発音を理解することができます。
海外での語学留学時のテキストとしても使われているほど分りやすく、的確に書かれています。
まず正しい発音を発声できることは海外での学会発表時に非常に重要です。
またそれだけではなく正しい発音の理解は、リスニング力を劇的に向上させます。
リスニング力があれば、国際学会等で得られる情報量も飛躍的に向上しますし、もし海外の方と情報交換する時に、自分自身が英語を話せなくても相手が何を言っているか理解できれば、リアクションや簡単な単語で対応することができます。
フォニックスに関してはこの1冊があれば十分と言えるでしょう。
・おすすめ書籍②「世界一わかりやすい英文法の授業」
次に読み書きするための文法の本「世界一わかりやすい英文法の授業」です。
著者はスタディサプリの英語講師の関先生です。関先生の講義は「神授業」と言われています。
内容的には中学高校の授業でならう英文法をわかりやすく簡潔に書かれているので玄人向けではありません。あくまでも素人やもう一度勉強しなおしたい人向けです。
偉人の名言や名文が紹介されており、またユーモアを交えて解説しているので読みやすい内容になっています。
個人的には論文を読むために特別難しい文法は理解しておく必要はないと思っています。
また論文を書く時にも同じです。基本的には内容さえ理解できれば問題ないと思います。
投稿前にネイティブの方や校閲会社に校閲を依頼すればOKです。あとは専門家がキレイに直してくれます。
・おすすめ書籍③「キクタン」
最後は英単語の本「キクタン」です。
アルクが編集しているキクタンは音声CDもセットで、様々なラインナップ(中学英単語・Entry・Basic・Advanceなど)があります。
視覚だけではなく音で覚えるのは有効的な方法です。
個人的には【Entry】ぐらいで十分と思っています。
というのはその専門分野に出てくる英単語は大体決まっているからです。なので、基本さえ押さえていれば問題なく、後はよく出てくる専門英語を少しずつ覚えていけばOKです。
2-2.オンライン英会話で勉強する
本で学んだことをオンライン英会話でアウトプットしましょう。
もちろん直接、英会話教室に通ったり、留学できればそれでもOKですが、金額的なところを考えればオンライン英会話が一番コスパがよいと言えるでしょう。
今では様々なオンライン英会話のサイトがありますので、無料体験なども駆使して自身にあったサイトを見つけることが大切です。
・オンライン英会話①『DMM英会話』
レベルや目的に合わせて選べる10,000以上の無料レッスン教材を使用できます。
また無料なのは教材だけじゃなく、英語学習アプリも無料で使えます。
24時間・365日いつでも受講できたりと、使いやすさでは一番おすすめです。
更にDMM英会話は講師の質にもこだわっており、他はフィリピン人講師が多い中
ネイティブ含む世界120ヵ国以上の多国籍な講師が10000人以上とマンツーマンレッスンできます。
日本人講師も在籍しているので初心者にも安心です。
無料体験レッスンも実施中です。
・オンライン英会話②『QQ English』
教師の質にとことんこだわっているのがいるのがQQ Englishです。
QQEnglishの先生は全員が「プロの教師」です、全員を正社員で雇用しているので質を担保しています。
無駄がなくコスパ重視の学習プランです。
QQEnglishのレッスンは専用オフィスからの提供でインターネット回線の不具合がなく小学校など教育機関にも多数選ばれています。
無料体験レッスンも実施中です。
・オンライン英会話③『ネイティブキャンプ』
レッスン回数無制限が売りのなのがネイティブキャンプです。
独自のサービスでパソコンやスマートフォン・タブレットからいつでもどこでも英会話レッスンを受講可能です。
アメリカ・イギリスなどのネイティブスピーカーや、英語運用能力が非常に高いフィリピンなど世界120ヵ国以上の様々な国籍の講師が在籍。
24時間365日いつでも思い立った瞬間に英会話レッスンが可能です。
3.まとめ
・他の職種と同様に胚培養士にも英語が必要
・英語ができれば学会発表・論文発表時役に立つ
・英語ができれば国際学会で得られる情報量が増える
・英語は胚培養士としてもスキルアップ・キャリアアップに有効
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