不妊の原因【不妊における男女別の原因と男女比を徹底解説】

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不妊の原因ってどういう種類があるのか知っていますか?
また不妊原因の男性と女性の比率はどれくらいなのか気になりませんか?
この記事では、不妊の男女比と男女別の不妊原因について解説します。

 

約10年不妊治療施設で働いている不妊の専門家が徹底解説しますので、信頼性の担保になると思います。

1.不妊原因の男女比

男女の比

まずは下のグラフを見てみてください。

不妊原因

WHO(世界保健機関)が報告した不妊の原因を男女別に示した統計では、不妊の原因は41%が女性側のみ、24%が男性側のみ、24%が女性男性ともにあり、11%が原因不明となっています。

 

やっぱり女性側に問題があることが多いのね・・・

いえいえ、決してそんなことはないですよ。

このグラフをこのように見てみましょう。

不妊原因2

このように示すと見え方が変わってきませんか。

 

48%、約50%が男性側に原因があるとも読み取れます。

 

半分は男性側の問題なの?

そうなのです。意外と男性側の要因は大きいのです。

そのため男性もこの現実を理解し、検査を受けるなどして不妊症に対して積極的に関わることが重要なのです。

 

そして何より男女が協力し合うことが重要と言えるでしょう。

 

そのために男女同時に不妊治療・妊活のスタートを切ることをお勧めします!

 

それでは男女別でどのような原因が考えられるのでしょうか。

 

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2.男性不妊の原因

男性ベッドに座る

男性不妊のほとんどは造精機能障害と言われています。その原因は様々で先天的(染色体異常など)なものもあれば後天的(ライフスタイルや加齢)なものもあります。

 

後天的なものとしては加齢に加えストレス、アルコール、喫煙、肥満・糖尿病、薬の副作用、精巣の損傷など様々です。

 

最近では医学的なエビデンス(証拠)はないですが、長時間のお風呂やサウナ、下着の種類(ブリーフやボクサータイプ)、自転車のサドルによる精巣の圧迫や温度上昇なども影響しているのではないかと言われています。

 

以下からは代表的な男性不妊の原因について解説します。

 

2-1.造精機能障害

・乏精子症

精液中の精子の数が少ない状態をいいます。WHOの基準としては総精子数が1ml中に3900万以下と定義されています。

 

どの程度基準より低いかによって治療法は変わってきます。

 

少し下回るぐらいならタイミング法や人工授精、大きく下回るなら体外受精や顕微授精の対象となります。

 

また、男性不妊のほとんどがこの乏精子症と言われています。

 

乏精子症は明確な原因が不明の場合が多いです。

そのため様々な治療法が存在しますが、エビデンス(根拠)にかけるものがほとんどです。

 

もちろんそういった治療に全く意味がないとは言いませんが、パートナーの年齢が高い場合や精液所見が著しく不良の場合は早期に顕微授精に移行すべきと思われます。

 

・精子無力症

精液中の運動精子の数の割合が低い状態を言います。WHOの基準としては運動精子率が40%未満と定義されています。

 

その原因も様々で、抗精子抗体陽性・濃精液症の場合は精液所見によって人工授精、体外受精や顕微授精と治療法が変わってきます。

 

また線毛機能不全症候群や精子死滅症では顕微授精のみが選択肢となるでしょう。

 

・奇形精子症

精液中の精子の奇形率が高い状態を言います。WHOの基準としては正常形態精子が4%未満と定義されています。

 

しかし、乏精子症や精子無力症と比べて判定が難しいので、実際の現場では奇形率を算出しない場合も多いです。

 

というのも何をもって正常形態とするか奇形とするかの判断は客観性を持つのが非常に難しいのです。

(尾部が2本あるなど明らかなものばかりではありませんので)

 

そもそも正常形態精子率のWHOの基準が4%って低すぎない?何をもって奇形って判断したの?って思っている医療者もたくさんいますし、私もそう思います。

 

どちらにせよ、奇形精子が多い場合は顕微授精が第一選択にすることが多いです。

 

・無精子症

造精機能障害の中でも重い症状で精液中に精子が一匹もいない状態です。これが男性不妊の中で最も困難な治療になるかもしれません。

 

無精子症は閉鎖性と非閉鎖性に分けられます。

 

閉鎖性の場合、閉鎖している部位によって精巣上体や精巣から手術により精子回収し、顕微授精することができます。

また精巣上体の閉鎖の場合、自然妊娠を目指した精巣上体精管吻合術も選択肢として考慮されますが、パートナーの年齢を考慮し、早期に精子回収術を選択することも思案しなければいけません。

 

非閉鎖性は閉鎖している訳ではないが造精機能が著しく悪い、また造精機能が全くないかで、精液中に精子が1匹もいない状態です。

原因としては染色体異常や過去の精巣炎が原因の場合と原因不明の場合があります。

 

いずれにせよ精巣から手術によって精子が回収できる場合があります。少量でも精子が回収できれば顕微授精が可能です。

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2-2.性交障害

・勃起障害

満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態をいいます。

 

その原因としては動脈硬化や神経障害、精神的なストレス、薬剤の副作用によるものがあります。

 

まずストレスなど精神的なものが原因の場合、その解消が第一です。

 

しかし、パートナーの年齢を考慮し、ED治療薬を服用することで自然妊娠も可能です。

 

その際は必ず、医師に処方してもらいましょう。

偽物が出回って健康被害が問題となっています。

 

・射精障害

勃起には大きな問題は見られないが、膣内で射精することが困難な状態をいいます。

 

骨髄損傷や神経障害を有する人に多いと言われています。

他にも早漏や遅漏なども含まれます。

 

射精障害の場合、体外で射精ができれば所見によって人工授精、体外受精や顕微授精が可能となります。

 

骨髄損傷の場合でも電気刺激などによって射精できれば対応可能です。

 

また逆行性射精という陰茎に送られるべき精液が、膀胱内に送られてしまう症状の場合でも尿中から精子が得られれば、体外受精や顕微授精が可能性です。

 

3-3.その他

・精索静脈瘤

精巣上部に静脈の瘤ができ、嚢内の温度上昇などから精巣の発育不全などを発症し、造精機能に悪影響を与えると言われていますが未だ不明な点は多いです。

 

精索静脈瘤の手術を受けることで精液所見が向上し、自然妊娠に至る場合がありますが、手術をしたにも関わらず30~40%は造精機能が回復しないとも言われています。

 

そのため、パートナーが高齢の場合や手術後の改善が見られない場合は、早期に体外受精や顕微授精に移行する必要もあります。

 

・染色体異常

染色体異常も不妊原因となります。多いものとしてはクラインフェルター症候群、Y染色体微小欠損やロバートソン転座などがあります。

 

いずれにしても少量の精子が見つかれば顕微授精が可能です。

 

しかしながらY染色体微小欠損の場合、治療によって産まれた子供が男の子の場合、Y染色体微小欠損も遺伝し、男性不妊を受け継ぎます。

 

残念ながら現在は重篤な遺伝疾患以外は遺伝子診断によって男女の産み分けは認められていないので、女の子を選択できないのが現状です。

 

・活性化障害

卵子が受精卵として発生するためのスイッチを押すのは精子の仕事で、それを「活性化」と呼びますが、その力が弱かったり全くない状態を活性化障害と呼びます。

 

その場合は顕微授精後に人為的活性化を行うことで多くの場合解決できます。

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3.女性不妊

女性ベッド

・排卵障害

月経周期が25~38日で、基礎体温が二相性になっている人以外の方は月経不順で、排卵に問題がある可能性があります。

 

精神的なストレスや過度なダイエットに起因している場合や多嚢胞性卵巣症候群の場合も考えられます。

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・卵管障害

卵管が詰まっていたり、狭くなっていたり、癒着していている状態を言います。

 

卵管は受精の場であり、子宮への通り道ですのでそこが通りづらくなっていると妊娠の機会は著しく低下します。

 

子宮内膜症やクラミジア感染症によっても卵管が癒着する可能性があります。

 

卵管が詰まっていたとしても体外受精や顕微授精によって体外で受精卵を作り出せれば、子宮内に受精卵を移植することができるので卵管をバイパスすることができます。

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・子宮因子

子宮筋腫や粘膜下筋腫ができると、受精卵の着床が妨げられてしまい不妊の原因となる可能性があります。

 

また生まれつきの子宮奇形や子宮内膜の癒着も子宮因子に含まれます。

 

・頸管因子

排卵期には通常おりものが増加し、精子が子宮まで泳ぎやすくします。

しかし、子宮頸部の炎症や過去の手術の影響により、おりものの量が減少すると、精子が子宮を辿りつきにくくなるため、不妊に繋がります。

 

手術などにより原因が明らかな場合は、早期に体外受精や顕微授精を行い、受精卵を子宮に移植することがよいでしょう

 

・抗精子抗体

体が精子を異物だと判断し、抗体をつくってしまうことをいいます。そうすると精子の運動性が失われ、卵子に到達できず受精が起こりません。

 

抗体の強さにもよりますが顕微授精が最も有効な手段と思われます。

 

・抗核抗体

抗核抗体とは、細胞内に存在する核内の細胞核成分に対する自己抗体です。

この抗核抗体が高値の場合、受精卵ができにくいことが最近報告されています。

 

・加齢

現在の日本は晩婚化・晩産化によって、この加齢が女性不妊の中で実際のところ一番多いです。

加齢による卵巣の機能低下、卵子の老化、卵子の数の減少など原因は様々です。

 

何よりも、いち早く不妊治療を行うことが重要と言えるでしょう。

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4.まとめ

・不妊原因の半分は男性側にある

・男性不妊のほとんどは乏精子症

・女性不妊の多くは加齢

・原因によって治療法が異なるため、まず早期に検査を受けることが大切

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