「妊活にはお金がかかる」そう思っていませんか?
もちろんお金をかけることで妊活の選択を増やすことはできます。
しかし、お金をかけなくても無料(0円)でできる妊活はたくさんあります。
この記事では不妊治療の専門家が「タダ」でできる妊活をわかりやすく解説します。
1.無料(タダ)でできる妊活の3つのポイント
妊活にとって大切なことはたった3つだけです。
・健康に気を付けること
これは基本中の基本ですが、意外とできていない人が多いのではないでしょうか。
食生活や睡眠、適度な運動など人間生活にとって不可欠なことですが、この基本が妊娠に適した体づくりにも非常に大切なのです。
・体を温めること
これは「≒体を冷やさない」ということでもあります。
卵子の眠っている卵巣は他の臓器とは繋がっていない特殊な臓器です。
いわば体の中にあるとはいえ末端の臓器と言えるでしょう。
また卵巣の中は毛細血管が張り巡らされています。
つまり体が冷え、血液循環が悪くなれば末端の卵巣にまで十分に血液が運ばれないという状態になってしまいます。
血液が運ばれなくては卵胞(卵子を包んでいる袋)や卵子の発育に必要なホルモンが届かず、適切な卵胞発育や排卵が行われない可能性があるでしょう。
また受精卵が着床する子宮は、いわば赤ちゃんのベッドと言えます。
そのベッドをフカフカに保つには血液循環をよくし、血液をたくさん送ることが大切と言われています。
そのため、女性は体を冷やさない事が大切なのです。
しかし、男性の場合は体から離れているところに精巣(睾丸)があるため、精巣内は体内に比べて温度が2℃程度低いと言われており、温め過ぎは厳禁ですので混同しないように気を付けましょう。
・ストレスをためないこと
過度なストレスは脳の視床下部や下垂体に異常をきたす可能性があります。
視床下部や下垂体は女性ホルモンの分泌の中心的な役割をしているので、ここに異常がでると生理不順や排卵障害や無月経を引き起こします。
これは過度なストレスを感じると体は、子孫を残すことよりもストレスを緩和し、自分自身を守ることを最優先するようにできているのです。
すなわちストレスを感じると脳は排卵や妊娠に必要な卵巣への指令よりもストレスの緩和に必要な副腎という腎臓の上にある臓器への指令を優先するのです。
また男性も過度なストレスによって勃起障害、射精障害、造精機能低下などを引き起こすことが知られています。
ストレスは職場環境や人間関係はもちろん周りの環境(熱い・寒いなど)や子供を授からない事への不安など様々あります。
これらを全て取り除くのは難しいですが、少しでも軽減させることが妊娠への近道になるかもしれません。
これらは全て無料で改善・軽減することができます。
逆にここにお金をかけることはストレスにもつながる可能性があるので、気にしすぎることは厳禁です。
またこれらは全て基本になりますので、すでに不妊治療を行っている人も含め、妊活を行っている人は皆さん実施することをおすすめします。
以下からは具体的な無料でできる妊活法を紹介します。
2.健康に気を付ける
・適度な運動
適度な運動はホルモンの分泌を正常化する効果があると言われています。
ジムなどで運動するのも良いですが、激しい運動は逆効果になりかねませんので気を付けましょう。
無料ででき簡単なのはウォーキングです。
ウォーキングは無料でできる以外にも、自分のペースでできるというのもメリットの1つです。
自分に課題を与え、ストイックにやりすぎるのはストレスにもなりかねません。
また特に食後のウォーキングは血糖値上昇も抑制でき有効的と考えられます。
日中でも太陽光を浴び、新鮮な空気を吸うとリフレッシュ効果もあります。
1日30分~40分ぐらいで十分です。また毎日行わなくても構いません。
パートナーとお喋りしながら、週3・4日できればよいのではないでしょうか。
・良質な睡眠
22時~24時には就寝しましょう。できれば7時間程度寝るのが理想的です。
また寝るときには電気を消し、朝は決まった時間に起きてカーテンを開け日光を浴びましょう。
なぜなら妊娠に大切なホルモンであるメラトニンは朝日を浴びてから15~16時間後、真っ暗になったら放出されるからです。
メラトニンは強力な抗酸化作用があります。
排卵機構において、活性酸素は卵子の成熟を阻害しますが、メラトニンはその抗酸化作用により活性酸素から卵子を守ります。
また不妊患者の体外受精において「睡眠の質が悪い人」は「睡眠の質が良い人」と比べ受精率やその受精卵の成長が悪いことも報告されています。
・寝る1-2時間前にぬるめのお風呂に入りリラックスしましょう。
・夕方や夜にウォーキングなどを行い熱放出する。
・眠れなくても布団に入り目をつむる(スマートフォンの光を見ない!)。
・禁煙
妊娠したいなら喫煙は絶対いけません。
それは女性だけでなく男性もそうです。
また喫煙の影響は吸っている自分だけではなく副流煙によってパートナーにも影響を及ぼします。
女性の場合は不妊のリスクが1.6倍にあがることが知られています。
これは早期閉経などが多くなることが原因と言われています。
また早産や流産、早期破水、前置胎盤、低体重なども増加すると言われています。
男性の場合は造精子機能低下による精子数や運動率が減少し、また勃起障害が増加することが知られています。
喫煙は子供が欲しいならいいことは何もありませんので男女ともに辞めるべきです。
無料で妊活をやろうとしているならお金を散財するだけなのでなおさらです。
・アルコール摂取量に気を付ける
アルコール摂取に関しては、不妊リスクと関連するか現在のところ明確にはわかっていません。
そのため、少量のアルコール摂取は問題ないと思われ、妊娠が発覚した時点で控えるべきだというのが一般的な認識です。
少量のアルコールは体を温めるのでむしろよいのでは、という考え方もあります。
しかし、過剰なアルコール摂取は「良質な睡眠」や「規則正しい生活リズム」という面で不妊リスクを上昇させるかもしれません。
更に、アルコール飲料は高カロリーのものが多く一過的に血糖値を上昇させます。
またアルコールは「インスリン抵抗性」を引き起こすことも知られています。
高血糖も不妊の原因になることもあるので注意が必要です。
・バランスのよい食事
まずはタンパク質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素をバランスよく食べることが大切です。
その上で、妊娠時に必要とされている葉酸や不妊患者が不足しがちと言われているビタミンD・B群や亜鉛、鉄分を含む食材を多く使えるようになることが大切です。
また水分はこまめに取りましょう。
よくモデルが「美容・アンチエイジングの為に水をいっぱい飲みましょう!」と言っていますよね。
確かに水分は大切ですが、飲み方を間違えると危険です。一気にガブ飲みすると水中毒になり、体内のミネラルが体外へ排出されてしまい、危機的な状態になることもあるので注意が必要です。
さらに体を冷やさないため冷たい水ではなく、常温や白湯を飲むことをおすすめします。
またこれまでも出てきましたが高血糖は不妊の原因になることが多く報告されています。
一つは卵子の質の低下です。高血糖により糖とタンパク質の結合し変性する「糖化」という現象が起こります。
体内で糖化が進むと卵巣機能低下や体外受精の成績が下がることが報告されています。
それは卵子もタンパク質でできており糖化によって卵子の質の低下、すなわち「卵子の老化」が起こっていると考えられています。
もう一つは排卵障害です。インスリンは血糖値を下げる作用のあるホルモンです。そのインスリンは排卵機構にも重要な働きをしていると言われています。
高血糖な状態が続く糖尿病の場合、インスリン代謝が障害されるため排卵障害を起こしやすくなることが知られています。
そのインスリン作用の障害としては、インスリンの作用が効きにくい状態になる「インスリン抵抗性」が関与していると考えられています。
・お米の代わりに玄米、パンの代わりに全粒粉パンなど精製度の低い穀物を取ることをおすすめします。これらは微量栄養素や食物繊維が豊富で、食後の血糖値上昇が緩やかになります。
・アルコールや清涼飲料水は控える。清涼飲料水などには糖分が多量に含まれていますので炭酸水などに置き換えるとよいでしょう。
・果物もなるべく控える。果物に含まれる果糖はブドウ糖以上に糖化を促すことが知られています。
3.体を温める
薄着をしない、冷房をつけ過ぎない、冷たいものを飲み過ぎないというのが基本となります。
腹巻やレッグウォーマーなどは定番ですよね。
しかしカイロなどによって外部から無理やり温めるのは逆効果と言われているので、やり過ぎには注意が必要です。
適度な運動によって内部から温めることをおすすめします。
ウォーキングや散歩、お家でヨガなんかも良いのではないでしょうか。
最近はヨガのDVDなどを買わなくてもYouTubeなどの無料の動画サイトで解説しながらやってくれるので、家着のままでくつろぎながら行ってはいかがでしょうか。
他にもぬるめのお湯で半身浴なども良いでしょう。
しかし重要なのは体を温めようとして高温のお湯で行うのは厳禁です。良質な睡眠の妨げにもつながります。
食事でも体を温めることができます。
代表的なのはショウガです。
しかしショウガは温めて使うと体も温まりますが、逆に生の状態で使うと体を冷やす効果があります。
そのため必ず過熱して使用するようにしましょう。
4.ストレスを溜めない
朝活をしたり、散歩やウォーキングはリフレッシュになりストレスの軽減につながるかもしれません。
また、アロマやヨガを行ってリフレッシュしている人たちもよく目にします。
しかし、妊活といって生活を縛りすぎるのはストレスの原因となり逆効果になる可能性がありますので、趣味などでストレス発散をしましょう。
もし仕事がストレスになっているなら上司と相談し、仕事量をセーブするなどの工夫が必要と思われます。
男性上司の場合、言いにくいかもしれませんが、相談するか悩んでいること自体がストレスになりかねませんので、一度勇気をもって言ってみてはどうでしょうか。
最近はハラスメントなどにうるさい時代ですので、上司も邪険な扱いをするわけにはいけませんし、更に管理者は不妊治療や妊活への理解を促すための取り組みとして勉強会への参加を義務付けられている施設もありますので、意外と理解を示してくれるかもしれません。
理解を得られなかった場合は、パートナーと相談し、休職や退職、転職なども考慮しなくてはいけません。
最後に妊活の為に、排卵のタイミングでの性交自体がストレスになっていませんか?
周期にとらわれることは御互いに重荷になることがあります。
自然の欲求に任せた方が妊娠しやすいというデータもあるぐらいです。
少なくても男性は週2-3回の射精することが、良い精子のため必要とされています。
排卵のタイミングだけではなく、普段からスキンシップをとり、周期にとらわれず週2-3回の夫婦生活を持つことが近道かもしれん。
5.まとめ
・健康的な生活には適度な運動、良質な睡眠、バランスの取れた食事が大切
・喫煙は厳禁、アルコール摂取はほどほどに
・体を温めるためにも適度な運動や食生活が大切
・体外からの温め過ぎには注意
・ストレスをため過ぎないように仕事をセーブすることも考える
・夫婦生活自体がストレスにならないように普段からスキンシップをとる
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