不妊における卵子と精子の違い【卵子の老化という真実】

【卵子の老化という真実】のアイキャッチ妊活
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最近よく不妊症において「卵子の老化」という言葉を聞きませんか?

何で卵子だけなの?精子は老化しないの?何ていう疑問を持っていませんか。

本記事では卵子と精子それぞれの形成過程の違いから「卵子の老化の真実」をわかりやすく解説します。

 

この記事を書いている私は、不妊治療の専門家で、また大学・大学院で生殖学を専攻していましたので、信頼性の担保になると思います。

1.卵子と精子の基本情報

基本情報

まず卵子とは女性(雌)における配偶子で、精子とは男性(雄)における配偶子です。

 

人を含む哺乳類の卵子は直径約100μm(1mmの10分の1)程の大きさで、種を越えてほとんどサイズは変わりません。

 

精子は大きさは種によって頭部の形や尾部の長さは違いますが、人の場合は約60μm(頭部は約5μm)程です。

 

この卵子と精子は減数分裂という特殊な細胞分裂によって製造されます。

 

通常の体を形成している細胞の細胞分裂は、細胞が染色体を1回だけ複製(同じものをもう1つコピーする)して、細胞分裂することで、元の細胞と全く同じ染色体構成(遺伝子)を持った細胞が2個できあがります。

 

それ対して卵子や精子の減数分裂は、1回の染色体の複製後、2回の分裂が連続的に起こることで、最終的に元の細胞の半量の染色体しかもっていない細胞ができあがります。

 

なぜ、通常の細胞の半分の染色体になるかというと、受精によって卵子と精子が結合することで、通常の体の細胞と同じ染色体量なるという仕組みだからです。

 

また減数分裂の過程で、細胞ごとに1番の染色体は父方を、2番の染色体は母方を・・・という風にランダムに分配が起こります。すなわちヒトの場合、23対の染色体があるので223(800万)通りの組み合わせができます。

また、お母さんから受け継いだ染色体とお父さんから受け継いだ1本ずつの染色体の間で組み換えも起こるので、そのパターンはほぼ無限に存在することから多様性が生まれます。(同じ親から生まれた兄弟でも全く違う外見や性格、特性があるということ)

 

基本情報はここまでにして、卵子と精子の形成過程の違いからみた卵子の老化を考えましょう。

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2.精子の形成

精子

精子の元になる細胞は、まだお母さんのお腹の中にいる頃に精巣で誕生します。これらの細胞は精粗細胞や精原細胞と呼ばれ、性成熟(思春期)を迎えるまで精原細胞のままの状態で休止しています。

 

思春期を迎えると精原細胞は精母細胞となり減数分裂を開始します。最終的に1つの精母細胞から4つの精子が作られます。

新しい精原細胞から約80日かけてオタマジャクシのような運動性を持った形へ変化します。

 

また精原細胞は幹細胞でもあり、精母細胞に変化し精子を作製する一方で、細胞分裂を繰り返し、無限に新しい精原細胞を作り出すことができるのです。

 

この精原細胞の増え続ける機構によって精子は毎日億単位で新しく生産することができます。

 

3.卵子の形成

卵子

卵子の元になる細胞も、まだお母さんのお腹の中にいる頃に卵巣内で誕生します。これらの細胞は卵原細胞といわれ活発に分裂を繰り返して増殖します。

 

この増殖は妊娠7ヵ月頃まで続き、妊娠5カ月頃にはピークに達し約700万個にまで増えますが、その後減少すると言われています。

 

そして、妊娠8ヵ月頃には全ての卵原細胞は減数分裂を開始し始めるのです(減数分裂に入ると卵母細胞と呼ばれる)。

 

これらの卵母細胞は減数分裂の初期(第一減数分裂前期)で一旦停止し、そのまま性成熟(思春期)が訪れるのを待ちます。

 

思春期を迎えると、脳から分泌されるホルモンに反応し、1回の生理周期に約10個の卵母細胞が成長を開始し、最終的に最もホルモンへの反応の良かった一つの卵母細胞のみが選ばれ、減数分裂を再開し排卵されます。

また1つの卵母細胞が成長を開始し、排卵するまで約半年かかると言われています

 

減数分裂を再開した卵子は排卵される頃には第二減数分裂中期に達し、この段階でまた減数分裂を停止します。

 

この第二減数分裂中期こそ受精可能である唯一の段階であり、この状態を維持したまま受精の場である卵管内で精子を待ち受けます。

 

めでたく精子と出会うことのできた(受精することのできた)卵母細胞は、精子の刺激をうけて減数分裂を再開させ、胎児期に始まった減数分裂をようやく完了することができるのです。

 

すなわち卵子の定義を、減数分裂を完了させ染色体量は通常の細胞の半量である女性の生殖細胞と考えると、卵子と呼ばれる時期は実際には存在しないのですが、卵母細胞のことを一般的に卵子と呼んでいます。

(減数分裂の途中である卵母細胞の段階で受精し、その後は受精卵と呼ばれるため)

 

またこの卵母細胞の減少スピードは凄まじく、ピーク時は約700万個あったものが、産まれる頃には約200万個、性成熟を迎える頃には約30万個、30代後半で約5万個、閉経時にはゼロに近づきます。

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4.卵子と精子の違いからみた卵子の老化の真実

老化

卵子と精子の1番大きな違いは、精子は新しい細胞から毎日作り続けられているのに対して、卵子はお母さんのお腹の中にいる頃に既に作り始められた細胞が性成熟後に、1個だけ排卵という形で排出されるという点です。

 

すなわち、精子は作り始めてから射出されるまで80日程度しか経っていませんが、卵子は作り始めてから、20歳なら21年、40歳なら41年(胎児期に既に作り始めているため、実年齢+1歳)経過しているという事です。

へー、卵子も同じ分年をとっているってことなのねー

例えるなら、精子を作っている精巣は常に稼働している工場であり、卵子の眠っている卵巣は昔作ったものを少しずつ出荷している倉庫なのです。

 

体の細胞は常に一定の頻度で作り替えられています。卵子はそうではなく、1つの細胞が女性の年齢の分だけ作り替えられることなく存在しているのです。

 

そうすると長い時間をかけて染色体の異常や細胞質の劣化などが蓄積されていきます。

 

そうです。これが「卵子の老化」です。

ひえー!!

そのため、精子は老化しませんが、卵子だけ老化するというのが真実なのです。

 

これを理解して、妊活や不妊治療を行うことが大切です。

 

いくら外見が若々しくても卵子は年相応の年齢の老化をしています。

20歳と40歳ではその老化は2倍です。

 

 

では、男性は何歳でも大丈夫なのかといえば、理論的にはそうなのですが、実際は老化によって造精機能が低下したり、精子のDNAのダメージが多くなると言われています。

 

これは精子の老化というよりは、精子を製造するヒト側の老化ですので、本質が違うと言えるでしょう。

 

 

妊娠を目指すのなら、男女ともに若いにこしたことはないでしょう。

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5.おすすめ書籍

卵子の老化についてわかっていることから、卵巣の働きや不妊治療、そして高齢妊娠まで、知っておくべき知識を豊富な図表とイラストでわかりやすく解説されている本です。

章ごとにQ&Aが書かれており、非常に理解しやすく、是非一読していただきたいです。

6.まとめ

・精子は常に新しい細胞から作られているので老化しない。

・卵子は胎児期に作り始められているため、排卵する頃には自分と同じ年齢分老化している。

・卵子は老化することで、染色体の異常や細胞質の劣化が起こりやすくなる。

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