妊活している人は必ずと言っていいほどサプリを飲んでいますよね。でもサプリって無数に存在し何を飲めばいいかわからないですよね。今回は「抗酸化」に焦点をあてて、男女ともに飲んで欲しいおすすめの物質『PQQ』を紹介します。
この記事を書いている私は約10年不妊治療に従事している妊活の専門家ですので信頼性の担保になると思います。
1.PQQとは
PQQとはピロロキノリンキノン (Pyrroloquinoline quinone)の略の栄養素で、また補酵素しての作用もあると言われている物質です。
PQQなんて初めて聞いたわよ。
初めて聞く人も多いかもしれませんね。
発見当初は新たなビタミンの候補として考えられていましたが、体内での役割が不明であったため、ビタミンとして認められませんでした。
2003年には生体内でのビタミンとして働いていることが報告され、今後、国際的に認められれば1948年のビタミンB12以来のビタミンの発見となります。
そのため現在はビタミン様物質と言われています。
このPQQ欠乏食を与えたマウスが種々の異常を起こす報告されており、また哺乳類でも様々な生理作用をもつ補酵素として働いている可能性が示唆されています。
2.PQQの効果
最も知られているPQQの効果として脳機能の改善があげられます。
加齢によって誰もが経験することになるのが「脳機能低下」です。
PQQの持つ強力な抗酸化作用やミトコンドリアの活性化、神経成長因子の改善によって脳機能が改善することが報告されています。
動物実験ではだけでなくヒトにおける試験においても短期記憶や情報処理能力が改善されることが明らかになっています。
またパーキンソン病やアルツハイマーなどの神経変性疾患の原因物質を抑制する働きが確認されており、防止効果や進行を抑える効果が期待されている物質です。
他の働きとして睡眠を改善します。
これはPQQの摂取によりストレスホルモンであるコルチゾールを減少させることが明らかになっています。それによって疲労回復にもつながります。
他にもヒトの試験において炎症の抑制や脂質や尿酸値の改善も報告されています。
また動物実験において血圧や血糖値の低減をはじめ、血糖値を下がりにくくするインスリン抵抗性の改善など多くの作用が報告されています。
これらの効果はこの驚くべき強力な抗酸化によるアンチエイジングによるものでしょう。
因みにこの抗酸化の力はビタミンCの数百~数千倍の効果があると言われており圧倒的です。
PQQってそんなに凄い抗酸化作用なのね。でも妊活に効果あるの?
そうですよね。ここまでは他のサイトにも普通に記載されている内容です。
ここからは生殖分野に特化した効果を解説します。
3.生殖に対するPQQの効果
・精子編
精子のミトコンドリアは直進運動に必須ですが、運動をする過程で酸化ストレスが発生します。
その酸化ストレスによりミトコンドリアDNAがコードしている酵素が分解されると、それを補うようにミトコンドリアDNAの遺伝子発現とタンパク質合成が起こり、精子の運動性を維持していることがわかっています。
しかし一定時間経過すると酸化ストレスによって最終的にはミトコンドリアDNA自体が分解されてしまい、ミトコンドリアDNA遺伝子の発現が行われなくなることから精子の運動性が低下します。
すなわち長時間精子を運動させるためには酸化ストレスである活性酸素を除去する必要があるということです。
そこで登場するのがPQQです!
でたー!
マウスにおいて培養液にPQQ添加すると活性酸素の発生量を低下させ、精子の直進速度を維持することがわかっています。
さらに、PQQを添加するとミトコンドリアの活性を高く維持し、ミトコンドリアDNAの安定性を高めることも示されています。この効果は抗酸化剤としてよく用いられるQ10よりも有意に高いことが明らかになっています。
これは体外における研究ですが、体内での効果も報告されています。
人為的に低テストステロンで精子の受精能力が低いマウスを作製し、一定期間PQQの経口摂取を試みた場合、テストステロン値が野生型と同レベルになり、また交尾回数も改善傾向があるようです。
さらに体内受精率の改善傾向や、精巣上体から回収した精子を用いた体外受精の受精率の有意な改善も見られています。
これらはテストステロン値が改善したことで、セルトリ細胞の機能を回復させ奇形率が有意に下がったことと、精子の運動性が改善したことに起因すると考えられています。
このようにマウスの実験においてPQQは体外および体内での精子の運動性を改善し、妊孕性(妊娠する能力)を改善させる可能性が示されています。
まだ実験動物での報告にはなりますが、例えば抗酸化剤であるQ10やL-カルニチンを飲むことでヒトでも精子運動率や総精子数が向上する報告もありますので、さらに強力な抗酸化作用をもつPQQがヒトにおいても効果をもたらすことは十分ありえると考えられます。
・卵子編
卵子の支持細胞(成長を助ける細胞)である顆粒膜細胞はマウスにおいてPQQを添加することでアポトーシス(細胞死)を抑制し、細胞分裂を促進することが明らかになっている。
これはPQQがミトコンドリアDNAや転写因子、RNA合成酵素を安定化させることを示しています。
さらにPQQをマウスに経口摂取した結果、発育する卵胞数が向上し、産子数が25%向上することが示されています。
ということは「閉鎖してしまう卵胞」と「発育を継続する卵胞」は活性酸素を除去する内因性抗酸化因子によって区別されている可能性があります。実際に発育中の卵胞内の顆粒膜細胞ではグルタチオン(内因性抗酸化因子)合成酵素の発現が増加し、逆に閉鎖過程の卵胞ではグルタチオン合成酵素の発現が低値であるそうです。
卵胞の発育には顆粒膜細胞の増殖の結果によって成り立ちますが、それには顆粒膜細胞内のミトコンドリアの活性化が必須です。
しかし、ミトコンドリアはエネルギーであるATPを合成する副産物として活性酸素が生産されています。
つまり卵胞発育と卵胞閉鎖は表裏一体ということです。
すなわち卵胞閉鎖を抑制し、卵巣刺激により採卵によって得られる成熟卵数を増やすには、内因性の抗酸化因子が不足している卵胞に外因性の抗酸化因子を供給する必要があります。
その外因性の抗酸化物質としてPQQが有効である可能性が示されたということです。
マウスを用いた研究では過剰排卵刺激によって得られる成熟卵数が通常40個程度のところ、PQQを経口投与した結果60個以上に増加し、それらの卵子は正常受精や発生能を有することが確認されています。
4.PQQの摂取
・食品から摂取する
食品の中にもPQQが含まれていることがわかっています。
代表的なものは母乳で1mlあたり140~180ngのPQQが含まれると言われています。
次に多いものとしては納豆で1g中に61ng含まれているそうです。
他にも植物だとパセリ・ピーマン・ほうれん草・キウイ・パパイヤ、飲料だと緑茶・ウーロン茶・コーラ、発酵食品だと味噌・豆腐などに含まれます。
しかしこれらに含まれているPQQはせいぜい20~30ng/g程度です。
PQQの効果を得ようと思うと1日当たりの摂取量は20mg~30mg必要と言われています。
単位が違うのでわかりにくいですが、20mg=20,000μg=20,000,000ngです。
例えば、ほうれん草におけるPQQの含有量は21.9ng/gですので、20,000,000ng摂取しようと思うと・・・約1,000,000g=約1000kg・・・現実的ではない量になります・・・。
あ・・・ん・・え?摂取できないじゃん。
そうなのです。意識的にPQQを含む食材を摂取しても、必要量を毎日得ることは非常に難しいのです。
そのためにサプリメントで補うことが推奨されます。
・サプリメントで摂取する
サプリメントに関しては特に海外のメーカーから多く開発されていますので、インターネットで購入してください。
私も購入しようと薬局を多く見回りましたが、1つも見つけられませんでした。
私が一番おすすめするのはDHCから出ている『PQQ+Q10』です。
なぜ私がこのサプリをおすすめするかというと特に脳機能の研究においてPQQはQ10と一緒に摂取することで相乗効果があることがわかっているからです。
あと日本のメーカーというのも安心して使えますし、1日1錠で20mgのPQQを摂取できるのもいいですよね。
実際私も愛用しています。
他にも海外のメーカーからはたくさん出ていますので、ご自身にあったものを購入してみてはいかがでしょうか。
その際に気を付けて欲しいのは1錠あたりの含有量と他にどのような成分と入っているかです。
5.さいごに
今回は抗酸化に着目し、強力な抗酸化作用があるとして注目されているPQQを紹介しました。
摂取には食品中には多くない成分ですので、サプリメントで摂取することが推奨されます。
ここで勘違いして欲しくないのは、私は決してサプリメントを飲むことで全ての妊活している方々に子宝に恵まれるとは思っていません。
あくまでも健康を補助するためのツールぐらいにしか思っていません
しかし、だからと言って妊活や不妊治療に効果が0とも思っていませんし、健康状態がよくなることで少しは役立つとも思っています。
一番大切なのは日々の健康的な生活と、治療レベル(それぞれに合った卵巣刺激や体外受精・顕微授精の腕)と考えています。
健康的な生活は難しく、なかなか健康的な体を得ることは難しいですし、加齢には勝てません。そこで頼るのがサプリメントです(私も頼っています)。
そしてせっかくお金を出して購入するなら、噂ではなく科学的に意味のある(期待できる)ものを購入した方がよいと思い、今回PQQを紹介させていただきました。
6.まとめ
・PQQはビタミン様物質で強力な抗酸化作用がある
・PQQは脳機能の向上、睡眠改善、ストレス軽減などの効果がある
・PQQはマウスにおいて精子の運動性を改善した
・PQQはマウスにおいて得られる成熟卵数を増加させた
・PQQはQ10と摂取することで相乗効果がある
・PQQはサプリメントで摂取することができる
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